飛騨沢滑落事故
昨日は飛騨沢を詰め、9時過ぎに槍ヶ岳山荘に着いた。
天気が大荒れだったので小屋で様子を見ていたが、そんな中でも登山者が
続々到着する。回復してから出発すると大渋滞になりそうだった。
何回か外に出て、気温が高くなったのを感じて出発。Hさんは槍ヶ岳の
初登頂を無事、残雪期に果たすことができた。
しかし下りで大渋滞。小屋からの下りは12時15分となってしまった。
ブリザードの中しばらく下って尻セードをしたくなった頃、
斜面を転がるように滑っていく登山者が。
勢いがつきすぎて止まらなくなったんだろうと見ていたが、少し先で
止まったまま動かない。
ピッケルで怪我でもしたかアイゼンで足をやられたか、と確認に行ったら
「滑ってきた。足は何ともない。血が出てるから少し怪我はあるようだ」とのこと。
「ま、足が大丈夫なら降りれるね」と安心し、下り始めた。
途中何か落ちているのに気付き、近づくと財布。
中を見たら何も入っていないが、状況から見てその人のものだろう。
また登り返して渡し、再度詳しく話を聞いてみた。何と、山スキーで
小屋から滑りはじめて100mのあたりで転倒、ここまで滑落してきたと言う。
よく見るとパンツの腰まわりがビリビリで、財布も飛ぶ訳だ。
スキーやストック、それに山歩き用のアイゼンも無いという。
「お金とアイゼンを貸してあげるから今日は小屋に泊まって明日探せば」と
またアイゼンを取りに下って登り返したが、スキー靴には合わなかった。
登りはアイゼンは不要、小屋の人の靴を借りて探すことにして別れた。
それにしても無事で良かった。死亡事故でもおかしくない事故だった。