安全を創る ⑧緊張感、想像力

ラテルネ瀧根

2013年04月16日 06:02

バタバタしていて飛び飛びになってしまった1997年の失敗・顛末記。

当時は今と違ってスナーグという打ち込み式のアイスハーケンを多用。
落ちた瞬間も、そのスナーグをアイスバイルで打ち込んでいた。
アイスバイルは懐かしいハミングバードの中空ピック。

当時のスタイルはピッケルを打ち込んで、それにぶら下がるような形で
ハーケンを打ち込んでいた。その瞬間のピッケルのすっぽ抜け、
打ち込みで重心が振れて抜け方向に荷重が掛かったのだ。

要するに下手だったという事に尽きるのだが・・・。
けだるい昼下がり、気温は高く緊張感に欠けていた。これが重要。
加えて事前トレーニングを一切していなかった。舐めてかかっていた。

最初のランナーを取るまでの緊張感が特に問題になってくる。
グランドフォールをどう防ぐかということだ。

それまでの講習会などで、それこそが重要だと言う立場にいながら
まさにグランドフォールする位置で自分に緊張感が抜けていたというのは
即ち自分の「指導」の内実が問われることでもある。

これにはまいった。落ちたことより恥ずかしい。
分かっているつもりで分かってないことがいかに多いことか。
失敗によって痛い本質が掴めた。

2mくらいだったら、普通飛び降りたところでどうってことない。
それが固まったまま落ちたから、簡単に足首が解放骨折してしまった。
こうなったらこう動くという予測、シュミレーションはとても大事なこと。

普通の登山道でも緊張感を持って行動することで防げる事故は多い。
想像力だって大切なもの。それが足らないと「余裕」が妨げられる。

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