アンナプルナ 始動
K2を終えた僕は2年後の1999年の夏、田辺・三好と共に
カナダのアッシニボイン・北壁登攀に成功した。
その少し前、愛知岳連が管理する御在所北谷小屋改築のため、
加盟団体に協力を呼びかけて資材の荷上げが行われた時のこと。
岳連に夢が欲しいと思っていた僕は、何人かに事前に根回しをし
その終了後に開かれたご苦労さん会で、岳連への突き上げを計った。
それが2000年のアンナプルナⅠ峰へとうまく繋がった。
「岳連に夢を!」そんな声がその場に居合わせた石川さん(当時副会長)
に向けられ、それは愛知県山岳連盟60周年記念行事の一つとしての
海外遠征として取り上げられた。そして目指す目標は、人類が初めて登った
8000m峰としてあまりに名高い、アンナプルナⅠ峰に決定されたのだった。
1999年、隊長・石川富康(愛知県山岳連盟副会長・碧稜山岳会)、
登攀隊長・瀧根正幹(同海外委員長・千種アルパインクラブ)とする
組織の大枠が固まり、実行委員会が結成され、具体的に活動が開始された。
当初この公募隊への申込みは、名古屋山岳会、嶺山岳会、春日井山岳会、
豊川山岳会、中京山岳会、千種アルパインクラブ、名古屋グルッペハイジ、
名古屋白稜会、峠の仲間の14人であった。
その後、自らの山岳会の海外山行や自己都合により7人が辞退し、
隊員は7人と決まった。又、隊務補完のため副隊長として中平等新一
(やまびこ山想会・愛知県山岳連盟事務局長)が加わり、
登山隊は総数10名、愛知岳連としては実に29年ぶりの海外登山となった。
情熱は組織を動かすことができる。
以下、アンナプルナⅠ峰(8091m)登山隊2000の記録を紹介しよう。
〈4200mからのアンナプルナⅠ峰〉