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2013年04月17日

安全を創る ⑨総合力

そしてパーティの持つ総合力について。

②で書いたように、Fはロープをなかなか止めることができず
無線の対応も支離滅裂だった。
Nはザックをかき混ぜるだけで、医薬品を見つけることができなかった。
皆、信じられない出来事にパニクっていたのだと言える。

加えて「④救出を信じて」の部分では、F1の下降でアクシデントがあった。
「テープ背負子」とは、僕のハーネスとSさんのハーネスを
Sさんの両肩を介してスリングで連結し、僕を背負うというやり方だった。
全体重はSさんの肩に掛かってしまう。

まっすぐ下りると滝壺だったから、ガイドロープを張るためNが先に下りた。
3倍力で張り込めばそれをガイドロープにして下りられるが、
彼は張り込み方を知らなかった。だからそれは無いに等しかった。

下降しながらSさんの力が尽き、アックスが外れると共に
二人は流心に振られてしまい
Sさんの首にスリングが干渉したため、彼は意識を失いかけた。

仕方なく、背負われたまま僕がダブルアックスで横移動するとともに
体勢を立て直した。ようやくSさんも意識が回復し何とか降り立った。

何かあった時、沈着冷静でいられるかどうかは人それぞれだが
危急時にはやれるつもりのことが出来なかったりするもの。
そんなものを含めての総合力が問われることになる。

知的好奇心を満たすだけの、あるいは「講習会おたく」的な
セルフレスキュー技術では「知識」の域を出ない。
主体的な実践をどう積み上げるか、それが問われるところだ。

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Posted by ラテルネ瀧根 at 06:09│Comments(0)登山
 
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