ラテルネ瀧根の登山塾

吊り尾根上でのビバークは、平らで快適だった。

水分が枯渇しているのは分かりきっているから、
早速お湯を注ぐだけのラーメンを作る。
スーパーで見つけた東京拉麺の「お徳用ラーメン」という16食入りのもの。

〈行動食として余った分はラーメンにできるのがいい〉

塩分補給として行動食にも良いし、スープ代わりにもなる。
個装してあって、普通のラーメンの４分の１くらいの大きさ。
行動食としてもラーメンとしても、なかなか美味しかった。

その間にフリーズドライのドライカレーに湯を入れておいて、
出来るまでにカフェオレも飲んだ。

昔の夏の登攀は、当日の行動用に１リットル、
ビバーク用に１リットル、翌日の行動用に１リットルの計３リットル。
登攀具が重い分、少なく持つのが当たり前だった。

ビバークに入った時に２リットルしか残ってないのはとても辛かったから、
日中どれだけ我慢するかがポイントで、
ゴクゴク飲むメンバーに「一口しか飲むな」と叱ったこともある。

今回は涸沢小屋で４リットル仕入れたばかりだし、
そこからほとんど飲んでいないから贅沢なものだ。

再びラーメンを作ってドライカレーを流し込んだ。
仕上げに白湯を飲んで出来上がり。
足腰を伸ばすと何とも言えない幸せを感じる。すぐ寝てしまった。

明るいのでもう夜明けかと思って起きてみたら、まだ２３時。
半月だった。しばらく星を眺め、ながれ星も見つけた。
ビバークは、熟睡して一度目を覚ますとそこからが長い。