ウエブはこちらへ! http://laterne.web.fc2.com/

2013年10月31日

「海賊と呼ばれた男」

台風の被害に遭われた伊豆大島の町長に「死ね」なんて電話が掛かって
来ていたという。職員は忙しい中、泣きながらそんな報告に来るのだとか。
なんと情けない話なのか。週刊誌すら「〇〇党の町長」などとレッテル張り。

人間って、なんでこんなふうなのかと思いながら百田尚樹の「海賊と呼ばれ
た男」(上・下巻)を読んだ。主人公・国岡鐵造がいろんな人の影響を受け
ながら、中間搾取のない生産者と消費者を結びつける商人を目指し、やがて
石油と出会う。そして理不尽な国家による統制や業界の締め付けと戦い
ながらも、確実に地歩を築いていく。

「黄金の奴隷たる勿れ」をモットーに会社の利益など目もくれず、国民のため
日本という国のためどんな逆境にもひるまず戦い続けてきた国岡は、やがて
世界一のタンカーを持つまでになる。その従業員を家族と思い宝と思って
成功していく様子にはただ胸を打たれた。

世界のメジャーによる石油カルテルやそれに動かされる政治に一人立ち向
かう侍・国岡鐵造はイランの石油がイギリスに支配される状況の中、「イラン
の石油はイラン人のもの」と世界で初めてイラン政府と直に契約し日本に輸送。

しかし昭和28年、イギリスの意向を受けた米・CIAが当時の政権をひっくり返し
王政を復活させた(CIAも今年その事実を認めた)ことによって、その後26年に
亘って関係は閉ざされることになる。

これまで「先進国」の利権によって、どれだけ中東の国々が虐げられてきたこと
だろう。現在もなお混迷を深める中東のそんな実情を思いながら、真の平和を
目指した国岡鐵造(出光興産の出光佐三氏)

世の中にはこんな人がいたのか。その信念、哲学、言葉に何度涙がこぼれた
ことだろう。百田尚樹の本はいつも泣かせが上手い。

スポンサーリンク

Posted by ラテルネ瀧根 at 06:35│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。