ウエブはこちらへ! http://laterne.web.fc2.com/

2013年12月28日

北の山河抄③

「大英帝国への皮肉」とは考えもしなかったが、新谷さんの警鐘は
「私たちもまた修練を忘れ、権威に寄り添い、知識だけを糧に生き
ているのではないだろうか。道具は素晴らしく進化した。しかし冒険
の心は生き続けているだろうか」というものだった。

先日、西穂西尾根に向かった千種アルパインクラブの若者が丸二日
間のラッセルに苦しみ、2700mの少し手前でピークを断念して下山
した。2人がその連絡をくれた時、悪い天気が分かっていてそんな
経験に挑んだその奮闘に拍手した。

実は送り出したものの、大雪に全く不安が無かったわけではない。
初日の夜も二日目の夜も、現在地くらい確認しておこうかと電話を
かけたい衝動にかられていた。掛ければ繋がるのは分かっている。

しかし、その世界に身を投じている彼らに失礼かという思いと、何か
あった時少しでもバッテリーのロスは無い方がいいに決まっている。
一度は手にした携帯をそっと置いた。小さなことではあっても、経験
を積み上げる努力は尊いもの。

ピークに届かないかもしれない。それでもやったるか!そんな彼らの
頑張りに拍手するとともに、そんなやつらがいる喜びに思わずビール
を手にしている自分がいた。何か即、行動に移したかった。

「経験値を高める努力を続け、運をあてにしない、それが生き延びる
ために重要なことだ」と新谷さんは言う。丁度昨日は南極探検隊が
氷に閉ざされてSOSを出したらしいし、大雪は続いている。自然は
あくまで厳しい。そんな中、この本は「世界最悪の旅」とともに知識で
空腹を満たしているかのような登山者に訴えるものがある。

スポンサーリンク

Posted by ラテルネ瀧根 at 08:32│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。