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2014年02月08日

「灰の記憶」

「凡庸な悪」はホロコースト加害者のアイヒマンの裁判を傍聴した
ハンナ・アーレントの哲学だが、それに関連して「灰の記憶」という
ユダヤ人医師ミクロシュ・ニスリの手記を基に作られたアウシュビ
ッツ強制収容所の映画を見た。

当時、同じユダヤ人をガス室に送り込んで遺体を処理するという特
別班があり、その任務によって4ヶ月の延命という見返りを得るチー
ムがあったとは知らなかった。

そのチームのホフマンが、ガス室で奇跡的に生き残っていた少女を
発見。その命を守る葛藤や勇気が描かれた作品だ。

丁度その頃、最後の抵抗として死体焼却炉を爆破し蜂起する計画が
あった。それを薄々感じた軍曹以下が、その中心的な女性達に拷問
を加えて情報を掴もうとするあたりは反吐がでそうだった。

女性たちは情報を隠したまま射殺され、少女は軍曹に見つけられて
しまう。結局その日に打ち合わせもないまま武装蜂起が始めってし
まったが、圧倒的な武力によって簡単に制圧され、全員が庭に横に
させられたまま射殺される。それを見た少女はナチの兵士の横を外
に出ようと歩き始めるが、軍曹に射殺されてしまった。

その死んだ少女が「灰になって…云々」と語るのが映画の題名にな
っているようだ。

それにしても民族浄化を企てる権力者とその尖兵たちの残虐さ。
ごく普通の人、ありふれた凡人の悪行にこそ悪の本質があるという
ハンナの哲学は、この世のどこにでも見つけることができる。その
象徴のような、後味の重い映画だった。

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Posted by ラテルネ瀧根 at 07:04│Comments(0)
 
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