ラテルネ瀧根の登山塾

「日本はどうなるんだ？この雪は災害だんべよ～。出掛けられず、こ
まっているぜよ」そんな「怪人」からのメールが届いた。「そりゃ俺だっ
たら一杯やっちゃうけど」なんて茶化した返事を送ったら、「１５か１６
にＳとＯが３スラにアタックしそうだ」と返ってきた。

残念ながら僕の手首、まだ本調子ではない。もし彼らのアタックが
実現するとしても、トレーニング不足で同行はできない。来年もまた
狙ってくれないかなと思いながら、「条件が良いことを祈ってるよ」
と返事をした。でも１６日に見送るくらいなら何とかなりそうだ。

先日快晴の谷川から電話をもらった時、彼は「石楠花尾根がすげえ
リッジになってるよ、いつ登りに来るんだよ」なんて言ってくれたけど、
今週一杯は仕事だし相棒のＴさんも一緒にガイドをするから無理だ。
彼は「石楠花でもいいから写真を撮らせろよ」と言ってくれている。
だから１５に出掛けて１６以降に狙ってもいいのだが、「とにかく水曜
に会うＴさんと相談してみるよ」とメールに付け加えた。

一昨年亡くなった芳野満彦さんは高校生の時、八ヶ岳でのビバーク
で仲間と自分の足先を失った。かろうじて、かかとから３分の１くらい
が残った人だ。そしてその事故の２年後、彼は徳沢園の小屋番をして
一冬を過ごした。夕暮れどきが辛かったという彼。高校を出たばかり
の歳で、何を思い一冬を過ごしたのだろう。間違いなく失った仲間を
思い、孤独の淵を覗こうとした部分もあるだろう。

それにも似て谷川で越冬する「怪人」、３日に一度は涙を流すという。
どんな辛いことが去来しているのか分からないが、彼の喜々とする
シャッターチャンスを作ってあげたくもある。