ラテルネ瀧根の登山塾

昨日はテントなど濡れモノを干した。いい天気で、まるであの登攀の
世界とは別世界。天気だけではなく、下界は美味いものも食えるし旨
い酒も飲める。眩しく空を見上げながら、ため息を一つついた。

あの夜僕はテントの端っこで、狭くて寝返りすらできぬまま思ってい
た。「シュラフカバーを持ってきてないんだから真ん中で寝れば良かっ
た」テントマットを２枚持ってきたのは結露による濡れを防ぐつもりだっ
たが、マットはきれいに重ねてあるだけで役に立っていなかった。シュ
ラフは直にテントにくっつき、結露をどんどん吸い込んでくれていた。

用意したテントはマジックマウンテンの２～３人用内張りテント。雨は
降らないからと準備したものだが、何と言っても煮炊きをすれば湿度
１００％。２晩くらいなら濡れてもいいやとシュラフカバーを省いたのだ
が、やっぱりゴアのテントとは違って結露は大きく、濡れたシュラフと
身動きできないのは情けなかった。

そんな時、長い夜の暇つぶしに必ず思うことがある。「何を求めてこ
んなことやってるんだろう」・・・でも結論までは求めない。それは半分
寝ているからなのかもしれないし、面白いに決まっているからなのか
もしれない。ただぼんやり思っているそんな時間が、僕は好きだ。

その面白さは人それぞれなのだろうけど、一言で表すなら未知なるも
のへの憧れと言ってもいいのではないか。その中に困難があり、それ
を突破できるかどうかが問われている。力を合わせながら一つひとつ
突破していく過程こそ面白い。

全く春の日差しだ。そんな幸せを感じながら、「てっぺんでご来光を見
るのとはやっぱり違うよな」・・・やっぱりぼんやり思っていた。

〈キノコ雪〉