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2014年09月19日

「騙す」技術

北鎌尾根で起きた事故が少し分かってきた。東京からの情報による
と、落ちたのは男性。持った岩が剥がれて20mほど滑落したらしい。
手首、骨盤の骨折と肺の損傷で3ヶ月の入院だとか。心配していたが
命があって良かった。怪我をされた方はゆっくり静養されて、そのうち
また山に帰ってきて欲しい。

「山は騙す技術がとても大事だ」・・・そんな話を、その事故を知る前に
北鎌でしていた。「そこ」に5kgの力を掛けさせてもらうとか、そんな微
妙な力学で突破できるところが必ずある。だからこそ、植生の向きだ
とかに繊細にならざるを得ない。動く岩だってそうだ。どこまで力を「貸
し」てもらえそうか、そこにはいつも対話がある。

岩が「この向きにならこれだけいいよ」なんて言うわけはないから、瞬
時にそう感じる自分を創っていくことだ。つまり、常に自然と対話する
ことで養われていくものがあるはずだ。バリエーションをやる者は、真
剣にそれを追求しなければいけないのだと思う。

下りで渋滞に巻き込まれながらこんな話をした。前を歩いている人が
浮石でバランスを崩したら、その動いた石が動かぬように踏んでみる。
音がしたら音を立てぬように踏む。そんな繰り返しが構造や重心を見
抜く力になる。逃げていたら掴めないものがある、と。

「怖い」と言って縮む自分のままではいけない。怖ければこそ「怖い」
と言わず、その「怖さ」と対峙する。それによってしか「それ」を克服で
きない。やせ我慢は必要だ、と。

笑いながら楽しく歩くのはハイキングまで。登山技術を高めようとする
なら、真剣に自然と向き合う時間が必要になる。

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Posted by ラテルネ瀧根 at 06:11│Comments(0)
 
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