ラテルネ瀧根の登山塾

ちょっと頼まれた仕事をしていて、一緒にいる人の異変に気がつい
た。平坦なところで一本足で立ち、バランスを崩すのは誰でもあるが
その若い人は倒れてしまったのだ。その後も５センチほどの段差で
靴に足を入れようとしてまた倒れそうになっていた。

何かあってからでは遅いので、告げ口をするようだが管理者の耳に
入れておいた。やっぱりその後、その若者が歩きながら倒れてしまっ
たそうだ。車に轢かれる可能性もあったらしい。

何事もなかったから良かったものの、一歩間違えれば大変なことに
なっていた。聞くところによると、家族に引き渡したその足で入院した
らしい。実は以前の勤務先で仕事に追われて精神を病んでいたとか
で、その薬の影響らしい。

僕なんかは大雑把だからそうした繊細な病気とは縁がなさそうだが、
世の中には大真面目な人も多いから、いつどうなるかは誰にも分か
らない。「気楽に行こうよ」と言いたいところだが、本人はそうできな
いままに病んで行く。

事故で半身不随になった人が救いを求めて同級生とメル友になり、
それだけが支えで１年頑張ったが結局自死を選んだとの話を聞いた
ことがある。その事故で精神を病んだが、家族には甘えられなかっ
たのだろう。その同級生は病んでいることを知らなかったという。知
っていればもっと支えてあげられたのかもしれない。

お金至上主義で正規雇用が減り、真面目な人ほど追い込まれてい
くような、きっとそんなおかしな社会と無縁ではないような気がする
出来事が、目の前で起こった。