ラテルネ瀧根の登山塾

今年定年退職となるＭくんが面白かったと言って「国境」（黒川博行）
を送ってくれた。直木賞にノミネートされた作品だが落ち、本人がとて
も落ち込んだという、ちょっと古いが大作だ。

日曜、白骨温泉で湯疲れした身体を休めながらようやく読み終えた。
北朝鮮に逃げた詐欺犯を追いかけるヤクザの桑原と、スジものでは
ない二宮というコンビを主人公とするハードボイルド小説。北朝鮮の
研究・調査にどれだけ時間を割いたんだろう。圧倒され、まるで自分
が現在の北朝鮮にいるような臨場感を覚えてしまう。Ｍ君が去年一
番面白かったと言うだけあって、僕も引きずり込まれてしまった。

面白いといえば一昨日の衆院予算委。昨日の「中日春秋」にも載って
いたが、文科相と民主・袖木議員の論戦？がバカバカしく面白かった。

「車代は一切もらっていない」とは、「例えタクシー代を相手に出して
もらってもそれを受け取ったのはタクシーの運転手さんであって自分
ではない」と同義らしい。これが指導要項に反映されたら「学問のす
すめ」でなく「詭弁のすすめ」になってしまう。更に文科大臣の秘書か
らの口封じメールまで明らかになった。

国の補助金交付企業からの寄付は安倍首相にまで及んでいるが、
それにしては余裕綽々の安倍内閣。野党の脆弱さは間違いないが、
力のバランスのお笑い劇の中で、シビリアンコントロールの一環であ
る文官統制廃止を公明が了承。戦後を大きく変えようとする中谷大
臣の一声を後押しする事態になっている。

口直しに再び桑原・二宮コンビが登場する黒川博行の「破門」も読
んでみたいが、今は無い。