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2012年01月07日

西穂西尾根の事故

そのKは落ちる雪塊の一番上に位置していたから
雪崩に埋まってしまう事はなく、見えるところからコールすると
弱々しくも手を挙げてくれた。一安心して救助に向かう。

雪庇を切り崩し急雪壁を下降すると岩盤となり、不安定に雪が載っている。
雪崩ても大丈夫かどうか判断し、慎重に鍋谷に降り立った。

最悪どうなるか見極められなかったら
確実な手立てを考えなければいけない。そこにも想像力が必要だ。

西穂西尾根の事故

Kは自分で上体を起こし、胸と肩の痛みを訴えていた。
肋の骨折は下手をすると肺に刺さるかもしれない。
ヘリによるレスキューを即断した。

幸い携帯は繋がり、すぐヘリの要請をする事ができた。
肩を貸して太い岳樺のある対岸へ移動。
ヘリは一旦現場に来たものの引き上げて行き、救出は翌朝となった。

彼は横にもなれずザックに頭をつけて呻いていたが
21時頃から少しずつ水分を摂るようになり、その後寝息が
聞こえたりもしていたので最悪のシナリオだけは避けられると確信。

3人分のシュラフで保温しながらの辛く長い夜が明け、
ヘリがやってきた。救急隊員が降りてきてハーネスをセットする。

神岡の市民病院に搬送された彼の肺には傷がついていて
空気が漏れていたため、チューブを刺して抜く処置がされた。

診断は多発性肋骨骨折(8本)と鎖骨の骨折、右気胸であった。

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Posted by ラテルネ瀧根 at 06:35│Comments(0)登山
 
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