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2012年01月13日

南岳の遭難、その3

それにしても人間というもの、なんてタフなんだろう。
低体温症のまま一晩暴風雪の中で過ごして、それでも死なないとは。

僕の生まれる15年前、加藤文太郎が北鎌尾根で
仲間と共に死ぬのを決心した時、
震える字で「まだ死ねない」と記したのを思い出した。

もう一つ1996年5月のエベレストでの生還劇。
雪に埋もれていたロブ・ホール隊のベック・ウェザースさんは
救助隊に2度発見されるも絶望視され放置された。
(ジョン・クラカワーの「空へ」に詳しい)

彼の両手と顔は凍りつき、深刻な低体温障害も続いていたし
目もほとんど見えなかったが、意識が蘇った。
そしておおよそのキャンプの位置を予想し、
その方向に向かって歩き出した。彼は何度も転び、
幻覚に惑わされながらも気力でキャンプまで辿り着いたのだった。

彼は凍傷で両手と鼻を失ったが奇跡的な生還を果たし、
家族とその喜びを分かち合った。
彼を立ち上がらせたのはもう家族に会えず、
別れの言葉さえ言えないという圧倒的なもの悲しさだったと言う。

この時彼は、低体温による冬眠状態で生き延びたとされている。
同じ時同じ場所で日本の南波さんが亡くなった。
その違いは一体何なのだろうか。

〈ヒマラヤでヘリによる救助はほぼ不可能だ〉
南岳の遭難、その3

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Posted by ラテルネ瀧根 at 04:27│Comments(2)登山
この記事へのコメント
死を意識したり、考えたりすると 自ずと生を感じますね
瀧根さんの記事を読んでいると背筋がシャンとします(^^
Posted by niko at 2012年01月13日 06:03
nikoさんどうもです。そうですね、常に死はどう生きるかを突きつけてくれますね。僕は少しばかり立会う事が多いものだから余計かな?(笑)
Posted by ラテルネ瀧根ラテルネ瀧根 at 2012年01月14日 07:59
 
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