ラテルネ瀧根の登山塾

楽しい２年にそうしてピリオドがうたれ、転校。
「東京では学校へ行くとおはようのキスをするんだ」
なんて話はすぐ嘘だとバレたし、
東京帰りのいわゆる「ネ言葉」も飽きられ、
もう僕は正直に田舎モンでやっていくしかなかった。

そうだ俺には鉄棒があるじゃないか。ある時、蹴上がりから
一気に倒立にした瞬間、マーガリンが付いている事に気がついた。
時既に遅し。気がついたら前歯はへし折れ、血だらけで
病院に運び込まれた。学校では大車輪禁止令まで出た。
やっぱカッコ悪い。

おまけに学校の言うままに受験した進学校にすべり、
中学浪人となってしまった。番号が無いのを何回も確認した僕は
とんでもない局面のような気はしたが冷静だった。
「あれ、何か変だぞ」

僕の危急時には常にモルヒネのような脳内物質が分泌されていたが
（と思っているだけで、ただ鈍感なだけなのかもしれないが）
ただ家に帰る足が重く、遠回りして時間を掛けて帰ったのを覚えている。

親父は私立を受けるよう勧めてくれたが、嫌だと突っぱねた。
「家の経済状態」を微塵も思わせないようにとの、
せめてものカッコづけだった。今考えると、
親の言う事を聞いていた方が迷惑を掛けなかったのかもしれない。

こうした少年時代が「脳内ホルモン出まくり人生」のプロローグ。
「今」はその時々の「カッコ悪さ」のエピローグ。