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2012年06月26日

「足裏感覚」

この前書いた「動きのバリエーション」ではないが
なぜ人は弱くなっていくのか、持っている力をなぜ失っていくのか。

石川直樹は「あるがままの世界が発する声にただ耳を澄まし、
目の前に覆い被さってくる光の洪水に身を任せるしかない。
その意味で子供たちは究極の旅人であり冒険者」だとした上で
「大人になるとそうしたものを求めることもなくなり、
異質なものを避けて五感を閉じていくのかもしれない」と書いている。

五感を閉ざしていく事が持っている力を失う本質であるとするなら、
「与えられる」ことはその最たるものなのだろう。

「与えられる」ものとは皮肉にも自らが作り出す「便利」。
この前アイゼンを引用してその五感について学生に話をした。

最近のアイゼンにはたいていアンチスノープレートが付いている。
昔は無かったから、
特に春先、足裏に雪がダンゴ状に着くのが危険だった。

スリップしたらツアッケも利かないのだ。
だから足裏感覚を研ぎ澄ます必要があった。
少し雪を感じたら、ダンゴがひどくならない内に
歩きながらピッケルでたたき落としていた。

今はまずそんな心配はない。アンチスノープレートが危険を防いでくれる。
しかしその分足裏感覚は磨かれない訳だ。

それだけではなく、雪を踏んだだけで
いわゆる弱層をも感じることができる足裏感覚。
そんなものまで退化していってしまうのが道具の進化の代償でもある。

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Posted by ラテルネ瀧根 at 06:10│Comments(0)登山
 
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