ラテルネ瀧根の登山塾

全国的に天気が悪く、今日の滝谷は残念だが中止にした。
何と言っても落石が怖いのと滑り滝の渡渉が問題だ。

滝谷ではいろんなことを経験したが、
遭難者のものと思われるザックをB沢で拾ったことがある。
思わず近くにおロクがあるんじゃないかと探し回ったものだ。

結局おロクも見つからず臭いもしないので、
遭難者はピックアップされたんだろうと判断。

そのザックを多分「遺族」となる人に渡そうと担いで帰って
書いてあった連絡先に電話したところ、出たのが本人でビックリした。

話を聞くと、初冬にC沢に入ったらしい。
足首までない程の新雪の中、いきなり雪崩に巻き込まれ、
仲間と２人、縦に回転しながら落ちて行ったとの事だった。

血だらけだったが何とか動ける状態で、
残ったザックの食料を分けあってワンビバークし
翌日新穂高へ生還したとの事。

新穂高に着いた時は気を失ったとのことだった。
その時その壮絶な生還に、森田勝を思い出したのを覚えている。

ザックはそのまま送ってくれと言うので干しもせず送ったのだが、
後日美味しい日本酒とウイスキーを送って戴いた。

隣の沢に飛んできたザックに雪崩のすさまじい威力を思ったものだ。

今年になって東京の知り合いから
「瀧根さんにザックを拾ってもらったという話があったよ」と聞いた。
今は東京にお見えなのだろう。元気そうで良かった。