ラテルネ瀧根の登山塾

先週、山に絡むいくつかの怖い話を書いた。
多分それにまつわるエトセトラはそこに事故があり
「死」に結びつく場所だからなのだろう。

「魔の山」と呼ばれる谷川岳は、過去７０年間に８００人の死者があって、
世界ワースト記録としてギネス認定されている。
１年の死者が１１人強だ。

でも不幸にして山で「死」を迎えた時、
そこには恨みや憎しみなんてものは無い。

あるとすれば当時「赤紙」を恐れて谷川に向かった若者の、
そんな時代への恨みか。

だからいつか書いたように、
山で死ぬ人は山へ来る人を応援こそすれ、
足を引っ張るようなことはしないと思う。

それこそ「四谷怪談」のように、
我々の身の周りの方がどれだけ恨みや憎しみといった
「念」が多いことだろう。

ちなみに日本における自殺者は、ここ１４年間
ずっと３万人を超えるという驚異的な数だ。
年３００００人というのは谷川岳の３０００倍近い。

そんな人がいろんな想いで自ら命を絶つなんて、
いったいどんな世の中なのだろう。
そしてどれだけ強烈な想いが残されているのだろう。

やっぱりそんな社会の方が、山よりどれだけ怖いか分からない。