ラテルネ瀧根の登山塾

昨日は、北岳で不慮の事故に遭って亡くなった松宮君の３回忌。
６人が朝３時に集合して現地に向かった。

彼とＮ君は２年前、念願だった北岳バットレス第４尾根を登るべく
雨の上がるのを待って１０日の午後、登攀を開始。
落石を避けてＣ沢とＤ沢の中間部からの登攀だった。

意外に手こずって遅くなり、下部岩壁のブッシュ帯に適地を見つけ
２人別々にツエルトを被った。

そこに上部岩壁の大崩壊による落石が、尾根を超えて直撃し
腎臓破裂、骨盤骨折などによる非業の死を遂げたのだった。

「マッチ箱のコル」と呼ばれるところの上部が大規模に崩壊。
崩れ落ちる岩塊の一部、たった１５㎝程の岩が
彼の横に転がっていたと言う。

横に並んでいたＮ君は無傷。みるみる冷たくなっていく松宮を前に
必死に、可能な限りの処置をした。
朝を迎えるまでどんな辛い想いだっただろうか。
彼は仲間の死という「無情」を背負っても、山を止めなかった。

今回、松宮の想いも背負って４尾根を完登しようと
トレーニングを重ねていたが、別の事故もあって延期となった。

それでも妹さんを下部岩壁帯の基部までお連れすることができ、
しめやかに３回忌は執り行われた。

妹さんは「兄はかっこよかったと思います」と言われていた。
秋晴れと紅葉のバットレスに
松宮がニコニコ喜んでいるような気がした。