ウエブはこちらへ! http://laterne.web.fc2.com/

2013年03月31日

安全を創る ⑥救出

3日、8時頃救助隊が来てくれた。
千種の仲間が先頭で走ってきた意外性と感動で涙が出て、何も言えない。
かろうじて出た言葉は「やっちゃったよ」だった。あとは救助隊の皆さんに
「申し訳ありません、ご迷惑をおかけします」と頭を下げる。

背負子に固定されて、搬出が始まった。先導は歩きやすいルートを選び、
次の人は枝払いをやっていく。段差を前から支える人、
そして後ろからロープで確保する人。前後から足に枝が当たらないよう
気遣ってくれる。数回渡渉し、広いところに出た。

救助隊の限界もあり、ここでヘリを呼ぶ事にして無線で連絡。
待つ間に小便を、と準備するが、たまたま向かい合うようにいたEは
動かない。まあ目線くらいずらしているだろうとコックを開くと、
多少オーバーズボンに伝って落ちた。すかさずE、「漏れてますねぇ」
しっかり見とるやないか!さっきは感動させたくせに、変な奴だ。

ヘリによるピックアップは、目一杯低くホバーリングしてくれたので
そのまま下から押し上げられ、中から引っ張りこまれた。
そしてあっという間に空中へ。
「高い運賃になるなぁ」と思っていると隣の人が俺にビデオをむける。
「新年特番の出演料でヘリ代チャラにしてくれんかなぁ」とマジで思う。

やがて長谷村総合グランドが見えてきた。救急車、女房もいる。、
正月早々心配かけた。心から申し訳なく思ってまた涙が出そうだったが、
それだけはと堪えた。俺が涙をこぼしたら、彼女は泣き出してしまうだろう。

救急車に同乗した彼女は、震える声を絞り出すように「寒かったでしょう」と
言ってくれた。「心配かけたな」と言うのが、俺には精一杯だった。

スポンサーリンク
同じカテゴリー(登山)の記事画像
富士山
アンナあとがき 困難
福島Bコース
笠ヶ岳
周りを見ること
奥穂高ー西穂山荘
同じカテゴリー(登山)の記事
 富士山 (2013-06-25 04:52)
 アンナあとがき 困難 (2013-06-03 06:52)
 白出沢の事故 (2013-05-09 06:41)
 安全を創る 終わりに (2013-04-21 07:03)
 安全を創る ⑩続・総合力 (2013-04-20 06:52)
 安全を創る ⑨総合力 (2013-04-17 06:09)

Posted by ラテルネ瀧根 at 06:27│Comments(0)登山
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。