ラテルネ瀧根の登山塾

竹内さんがダウラに成功して、
これでアジアの８０００ｍ峰１４座完登者は５人となった。

他４人は韓国人。その内鉄人と呼ばれた朴英碩（パク・ヨンソク）氏は
去年１０月、我々のアンナプルナⅠ峰登頂予定日と同じ頃、
南面からの登頂を断念しての下山中に行方不明となっている。

ネパールで７３年ぶりの大地震があり、それを機に断念した我々。
アンナプルナの女神は、我々を許し、鉄人を奪った。

そのアンナプルナ、２００４年は竹内さんを許し
９座登っていた名塚さんを奪った。
その時、彼の８０００ｍ登頂歴はまだ５座。（その年に６座となる）

きっと田辺さんと並んだ頃には１４座を狙っていたのだろうが
１０座目を狙った２００７年にダウラギリⅡで雪崩に埋まる。
そこからの生還と自分を見つめる時間が、今回の結果を生んだと思う。

竹内さんとこれまでの登山家の違いの大きなものは、
何と言っても隊の組み方にあるだろう。

９座登った山田昇、名塚秀二、田辺治とも
山岳会などの隊を編成してのものだった。

竹内さんは公募隊という自由な選択をし、
後にラルフ・ドゥイモビッツ、そしてその奥さんの
ガリンダ・カールセンブラウナーというかけがえのないパートナーと出会う。

共に１４座完登者だ。

田辺さんの眠るダウラギリが１４座目となったことも含め、
ヒマラヤニストの因縁の強さと「神々の頂」の怖さを物語っている。